情報誌『any』118号2022年冬号(1~3月号)
any115号 2021年春号
特集:
ホー・ツーニェン
「ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声」展
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表紙画初回ラフ
2回目ラフ。可動式壁面を削除。
画面と人物を重ねてVRらしさをより表現。
3回目ラフ。
地面を白く、VR画面を薄く。
野村氏、YCAMとわたしとで
アイデアを出し合いながら
作り上げています。
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アートディレクション:
野村勝久(野村デザイン制作室)
発行:
山口市文化振興財団
写真資料をトレースして、細かいところはざっくりと
簡略化し、色面で構成するイラストは新しい試みでした。
アートディレクターの野村氏と一緒に作り上げている作品です。
103号あたりから感覚がつかめてきました。
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財団法人山口市文化振興財団が
年4回発行している情報誌
『any』の表紙画です。
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発行:財団法人山口市文化振興財団
アートディレクションおよびデザイン:野村勝久(野村デザイン制作室)
NHKラジオテキスト
『まいにちイタリア語』2018年4月号
「イタリア語☆翻訳工房」イラストを担当。
2016年から2年目の再版です。
学生時代、イタリア美術留学を目指していた者として
非常にお世話になったNHK語学ラジオ・テキストブック。
留学はしなかったものの、留学先を探して1ヶ月ほど
現地滞在し、そのときにホームスティさせてもらった
イタリア人一家とはその後、うちの家族とも
交流を持つ間柄に進展しました。
ラジオやアーカイブで毎日ヒアリングし、
書き取りしてきたイタリア語。
現地では白水社の会話帳を首っ引きにして、
なんとかカタコトのイタリア語をしゃべっていました。
公園で一休みしていたときに
おじさんに英語で声をかけられ、
イタリア語で応えると
「おおお!そのイタリア語は
どこで学んだんだね、お嬢さん?!」と。
「ラジオでです〜 A la radio.」
「A la radio?? ラジオでイタリア語が
勉強できるなんて国があるのか??」
「日本です!」
いやほんと、ラジオ講座のおかげです。
それでも、ホームスティすると俄然、
ヒアリングも向上し、語彙も増えました。
「よく寝れた? Dormito bene?」
「わかった? Hai capito?」
「すぐ行く!Vengo subito!」
「つかれたー Sono stanca...」
忘れたと思っていてもよく使った言葉は
覚えているものですね。
その家の息子はほぼ同じ年で
地元の大学で日本文学を専攻。
(彼の同級生がわたしの通う大学に留学していて
紹介してもらったのです)
彼は伊勢物語、源氏物語にくわしく、プレステなど
日本のゲームファンでもあって、日本好き。
日本語はもちろん達者。
ごめん、伊勢物語も源氏物語も全部さいごまで
読んだことがない…と言うとビックリしてました。
「え、浮舟はわかるよね?」
「誰、それ…??」
「源氏物語の第三部、宇治十帖の「宿木」から
「夢浮橋」に出てくる女性で光源氏の弟の娘で
〜〜〜(解説続く)」
「おおお〜、よく知ってるねえ」
「なぜ日本人(しかも関西人)なのに知らない?!」
一方で美術を専攻しているワタクシ、
ヴェネツィアのグッゲンハイム美術館に行くと
伝えると「んー、行ったことないかな…」と。
「ニューヨークにもある現代美術の美術館だよ」
「あそこ、現代美術の美術館なの?」
「ピカソとかパウル・クレーとか
ダリとかマルセル・デュシャンとか
ブランクーシの作品がコレクションされてて…」
「おおお〜、よく知ってるねえ」
「なぜイタリア人なのに知らない?!」
隣の芝生は青い。
さて、イラスト紹介。
扉や本文にも登場する、辞書キャラも描いています。
作家・中島敦(1909-1942)が南洋庁国語編集書記
として南洋群島(現ミクロネシア)へ単身赴任中に
家族へ送った書簡が4月第1週と第2週の課題文です。
4月第3週、第4週の課題文は伊丹十三のエッセー
『ヨーロッパ退屈日記』より「スパゲッティの正しい食べ方」!
1965年に発表されていますが、色あせることなく洒脱です。
スプーンをそえてクルクルとパスタを巻くのは
イタリアではフォークがうまく使えない子どもの食べ方、
先述のヴェネツィアっ子に教わりました。
ホストファミリーは「スミコはイタリアで育ってないんだから
無理せずスプーンを使ったほうがよければそうして。
わたしたちもお箸はうまく使えないから」と異文化を尊重する
家風。そういわれると、スプーンなしでも食べられるように
なりたくなるものです。
フォークでスパゲッティ2〜3本の端を取り、
パスタ皿の端を使って巻いていくとちょうど一口大になる。
伊丹サンが指南している食べ方とおんなじでした。
それから、日本のそばうどんは器を持ち、背筋をのばして
すすって食べますが、イタリアではズルズルとすすらない。
お皿は持たない。顔をお皿に近づける。
郷に入っては、です。
ちなみにスパゲティは紐状のパスタのこと。
パスタは「麺類」のような総括語で、マカロニ、ペンネ、
ラザニアもパスタの一種。乾燥パスタと生パスタがあります。
イタリアのおかんが作る手打ちパスタは
炊きたてのごはん・つきたての餅・焼きたてのお好み焼き。
ソースもそれぞれの地方、家庭によって特性あり。
イタリアではよその州、よその国の料理を
家庭で作って食べるのはほぼないそうです。
が、ホストファミリーのお母さんは
隣国スロベニア出身。
郷土料理はその土地で気候風土を漢字ながら
そこに暮らす人たちと食べると
発見が多くて楽しいね、なんて話をしました。
20年前のことです。今は昔。
朝ドラ「わろてんか」ドラマ・ガイドPart2に
制作現場潜入イラストルポを描きました。
本日1月25日発売です。
関西在住の強み?を活かし、
NHK大阪局の撮影スタジオにて
出演者では徳永えりさん(トキ役)、
前野朋哉さん(アサリ役)に、
制作スタッフではプロデューサー、持道具、
美術チーフにそれぞれの仕事の矜持を取材。
てけてんてんてん♪
一部をすこしばかりご紹介。
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はてさてストラップの正体は?
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リアルサイズで作るとテレビではどう映る?!
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取材時に見学したシーンがようやく放送。
1月24日・第94回冒頭でアサリとキースが
漫才のネタを求めて銭湯を巡ってきて
のぼせて倒れる、というシーンです。
(取材は昨年11月中旬でした)
放送日よりも2ヶ月前に撮影しておくのですね。
このシーンの放送は数秒でしたが、
撮影はもちろん数秒では終わりません。
照明、音声、カメラワークの調整、
出演者の演技プランと演出のすり合わせ
等々が積み重なってのワンシーン。
裏方が準備をしてきたセット・道具の中で
どう演ずるか、の矜持をおうかがいしました。
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美術セットは撮影日よりも1ヶ月以上前に
準備を開始するそうです(そりゃそうだ)。
そしてそれを毎週くりかえす…
激務!!
(注)「美術デザインとは何か」は
ブログ上では鈴の図で伏せています。すみません。
ガイドブック上はちゃんと文字になっています。
取材時は病院のセットもあったのですが、
「誰が入院したかは聞かないでください」と
いろんな方に言われ(聞く前に)、
「あ、中心人物の誰かが…退場なのね」と
悟ってしまいました。
「ちりとてちん」以降、欠かさず朝ドラを
見続けてきている一ファンとして間近見学は
非常に心躍るものでしたが、
一視聴者としては知りたくなかったわあああ。
先を知らない楽しみっちゅうもんが
あるのです。
一方で、先もすこしは知りたい、裏も知りたい、
という視聴者の方々に楽しんでいただくのが
このガイドブック。
3ページに納めきれなかった現場裏話は
いっぱいあるのですが、別の機会に
別の形でうまく伝えたいものです。
たとえば…
どの封書の裏もちゃんと差出人が書いて
あって、当時の切手と消印が押してある。
裏面だし、重ねてあるしで
画面にはハッキリ映らないはずのところにも
当時のリアリティを持たせている。
一方でカフヱーマンマンの看板は
片面だけ彫り込んであり、その裏面は彫り込みなし。
撮影に合わせて彫り込みありの方に掛け替え、
予算を節約。
劇中でも謳われる「始末の精神」ここにあり。
ああ、書き出せばきりがない。
そしてこのイラストルポ、
主演の葵わかなさんが気に入ってくださったそうで、
「まんたんウェブ」(マイナビニュース等)で
PRしてくださってます。
おあとがよろしいようで。ベンベン。
『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 わろてんか Part2』
価格 定価:1,188円(本体1,100円)
判型:AB判
ページ数:96ページ
ISBN 978-4-14-923582-0
財団法人山口市文化振興財団が年4回発行
している情報誌『any』の表紙画です。
100号よりデザイン、イラスト共にリニューアル。
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『any』
発行:財団法人山口市文化振興財団
アートディレクションおよびデザイン:
野村勝久+坂本実央(野村デザイン制作室)
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